ターミナルケアは終末期ケアとも呼ばれ、治療の望めない患者さん、また認知症や高齢の人達が人間の尊厳を保ちながら死を迎えるためのケアだ。このケアを始めるという事は「延命をあきらめる」こととほぼ同義であり、本人や家族にとってもデリケートな問題である。だからこそ看護師は自分の役割を理解した上で患者のQQL(クオリティ・オブ・ライフ)を充実させるよう努力しなければならない。
ターミナルケアの看護師は、人間の生死に一番近いところで働いている。死に向き合う患者は、時には取り乱したり涙を流したり必ずしも毎日穏やかに過ごせるわけではない。そんな時にどれだけ彼らの心のケアができるかが重要だ。看護師本人の医療技術や病気に対する専門知識も当然必要だが、それに加えて患者の価値観や生き方を理解し、自分の心が折れそうになっても患者に寄り添える心の強さを持つことが大切だ。
患者の家族の心のケアも忘れてはならない。患者本人だけでなく、家族も自分の事のようにターミナルケアに向き合っている。家族が患者の病状やケアの内容について不安があれば相談に乗り、場合によっては看護師が医師との橋渡し役になる必要がある。さらに、家族の在り方は患者自身の幸福にも直結しており、穏やかな最期を迎えるためにも重要なのだ。
ターミナルケアの看護師は、患者や家族との距離を縮め、彼らの気持ちや方針を尊重しながら時には意思決定も促す。そして、家族が持つ力を最大限発揮できるよう常に心がけるべきだ。